国王陛下の女王様






「入るよ、沢田綱吉」

は綱吉の直属の部下ということから執務室に赴く回数が幹部並に多い。必然的に顔を合わせる機会が多くなるので、全員とはいかないが守護者と仲が良い。
山本と顔を合わせればスイーツ談義が始まるし、クロームとは暇さえあれば中庭でお茶をしている。綱吉に馴れ馴れしいと獄寺からは睨まれているが、実は瓜がにメロメロだ。
中でも一番不思議な組み合わせが、この二人。

「あ、こんにちは、雲雀さん」
「・・・君もいたのか」
「はい、最近現場でもお会いしてませんでしたからだいぶお久しぶりですね」

雲雀がの事を気に入っているらしい。その証拠によく喋るが未だに雲雀にトンファーで咬み殺された事はない。


「はい?」
「コレあげる」
「フランス出張のお土産ですか?ありがとうございま・・・うーわー何ですか今パリで一番人気のパティスリーのマカロンじゃないですか!物で釣るつもりですか隠してある指輪なんてもうボス脅すとっておきのAランクしかないんですからね!」

ちょっと待て。

「・・・今のは聞き捨てならないなぁ、
「えーっと・・・」

ダッ。

「あ、逃げた」
「沢田綱吉、僕の邪魔をするとはいい度胸だね」
「雲雀さんこそウチの女王様のご機嫌伺って何を企んでたんですか?」

トンファーを取り出し臨戦態勢の雲雀に座ったまま笑顔で対応できるようになるなんて、十年前の自分には想像もつかない光景だ。まあ怖い事は変わりはないが。

「あの子の炎はどの匣も開けられるから、たまに風紀財団で借りてるよ」
「借りるのは構いませんけど、俺にも報告してください。一応彼女の上司なので」
「君も言うようになったね」
「彼女は俺のですから」
「ワオ、女王様の尻に敷かれているって聞いたけど?」
「甘やかすのが好きなんですよ」
「ふうん」

が逃げ出した後も膠着状態が続いたが、目的の人物がいなくなったのか雲雀が何事も無くトンファーを仕舞った。こういった何気ない仕草が、時間と共に彼もまた大分丸くなった気がする。なれ合う事はなくとも、むやみやたらに手を上げることが極端に減った。ゼロとまではいかないが。

「確かに、食べ方がエロいよね」
「えぇ!?ちょっと雲雀さん!」

執務室を去る間際にしっかりと爆弾を落としていかれた。とんだ伏兵がいたものだ。
彼女は、正直チョロい。雲雀に指摘されるように、別に御せない訳ではないのだ。経費の使い途にすら目を瞑れば金額など他の処理班と大差ない。寧ろ低いくらいだ。
・・・ドルチェで釣られて風紀財団に寝返ったらどうしよう。

「・・・あり得る」

小さいし可愛いし雲雀さん小動物好きだし胸大きい子も好きだし身長は平均だけど胸はさり気なくデカいし食べる姿なんてホントエロいしあまりのエロさに一昨年アイスキャンディー禁止令出したけど(そして一週間ストライキされた)。
いや問題はそこじゃなくて。

のおっぱいは僕が守るからね!」
「何つーこと叫んでるのボスのばかー!!!」
「んなっ!お前十代目にビンタとは覚悟は出来てるんだろうな!」
「ちょっとだまって右腕!」

守護者を一喝出来るって何者だろう、いや直属の部下だけど彼女の強さは計り知れない。しいて言えばドルチェの消費量も計り知れない。
その場から獄寺を追い出し鍵をかけ密室を作り出すの笑顔が超コワイ。

「ボス、いつ私のナニが誰のものになったんですか?」

正面にぐっと詰め寄られて・・・つい視線をそらす。昔家庭教師だった彼にシバかれてた時もこうやってよく正座させられてたっけなぁなんて現実逃避していたらようやく落ち着いてきた。彼女のいる部屋に飛び込んで(そしてたまたまいた獄寺君に聞かれたのも)落ち着いた今となっては恥ずかしい。昔と違って座らされているのが固いフローリングではなく、ふかふかの絨毯の上なのが唯一の救いだった。





「確かに、ボンゴレに忠誠を誓った身ですから私はボスのものですけどね」「えぇ!?」「心はドルチェが八割程占めてますが」「うん・・・知ってる」