ある男の友人と元彼女











卒業式だというのに来神高校は相変わらず騒がしかった。普段より一際大きな爆発音が鳴り響き、怒声に続き、ひとりの生徒が土煙りの中から校門へ、そのま外へ走り去る。その光景をは悪友である岸谷新羅と二人、屋上から眺めていた。

「行っちゃったねぇ、臨也の奴」
「よく卒業式の間耐えれたわね、あの二人」
「静雄と臨也の殺し合いは在学中に決着は着かず。卒業しても持ち越し、か。どちらかが死ぬのが先か池袋が壊滅するのが先か見ものだねぇ」
、君は仮にも臨也の恋人なんだから形だけでも彼を応援してあげないと」
「その事実は過去形にしておいて、新羅。さっき見てなかったの?あれだけ派手に廊下でやったのに」

の口から思わず溜め息が漏れた。全校生徒に聞こえる位の勢いで喚いたのに、この男の様に知らない人間がまだいるなんて。それじゃあ見世物になった意味が無い。

「いや、知ってるよ、僕もそこにいたし、教室にいたクラスメイト・・・というよりは私達の学年で知らない人間はいないんじゃないかなぁ?」
「ならどうしてそんな事・・・」
、俺は君とそんなに浅い付き合いじゃないと自負しているんだけど。勿論臨也ともだ」

真面目に返されては言い訳も効かない。つまり隣にいる男には気付かれてしまったのだ。

「は・・・流石は新羅。甘く見てたわ」
「全く、二人とも大根役者過ぎだよ。まぁ、はともかく、臨也まで大根とは思わなかったけどね」
「あら、私は結構本気でやったけど?」

実はあの後ずっと痛かったのだ。手すりで冷やしていたのにまだじんじんと痛む右手の掌を新羅に見せると、わぁおと大げさに驚かれた。

「そういえばの攻撃が臨也に当たったのって初めてじゃない?」
「あいつなりの贖罪じゃない?お互い嫌いでもないのに別れる事に対しての」
「へぇ、流石に気付いてたんだ」
「馬鹿にしないで。伊達に二年もあの変人と付き合ってはないわよ。何をするのかは解らないけど何がしたいか位は想像が付くわ」
「臨也はそれに気付いてたのかな?」
「私が気付いてた事?さあ、知ってたんじゃない?まぁ、あそこまで綺麗にビンタが入ったのには驚いたけど」

掌をひらひらと風に当てる。春の始まりに吹く風はまだ冷たかった。

はそれでいいの?」
「・・・いいって言ったら嘘になるけど、足手纏いにならない自信は無いわ。危険でもいいから私も守ってなんて図々しい事言うつもりないし」
「君達は不器用だね、互いが互いの事を思い過ぎていつも最悪の結果しか見えてない」
「褒め言葉として受け取っておくわ」
「そこは受け取らないで欲しかったなぁ」





私達の場合、ここまで。