僕は臨也の秘密を知っている。それと同時に目の前にいる彼女の秘密も知ってしまった。 彼女の秘密を知ったのは不可抗力だったが、近付いたのは好奇心からだった。 歪んだ愛を人間に送るが決して個を愛さなかった彼が彼女に執着する理由を知る為、それと僅かながらの祝福を送る為に。 それ以来、私とは只のクラスメイトから互いに数少ない友人へと変化した。 「ねえ、新羅くん」 「なんだい?さん」 それ故放課後、こうして人気の無い教室で他愛も無い会話に興じることがある。 因みに臨也は池袋の街で静雄と命を賭けた鬼ごっこ中だ。 「もしも私が折原くんの所為で傷付いて・・・例えば足を怪我して歩けなくなるとか、顔に残る傷とかを負ってしまったら、折原くんはずっと私の傍にいてくれるのかしら?」 「え・・・」 明日は晴れるのかな?そんな気軽さで彼女が口にした声に似合わぬ重い言葉に、流石の新羅も二の句が継げない。硬直した新羅に普段と変わらない笑みを向ける。 「だから例えばだよ、新羅くん。折原くんの事は好きだけど怖いのも痛いのも嫌だもの。ただ、ちょっと不安になっちゃったの」 それもそうだ。彼は、彼女以外に本当に酷い。それを知っているからこそ、も今の臨也の待遇に不安を覚えるのだろう。 だけど俺は、臨也がの事を本当に大事にしている事を知っていた。 実際彼の所為でが危険な目にあったことなど今までに一度も無い。それ以前に恋人だという情報以前に、彼女との繋がりを一切悟られないようにしている。 わざと情報を流し捕えられた彼女の反応を見るなど以ての外だった。 「大丈夫だよ、さん」 君は少しだけ彼に大事にされすぎているだけなのさ。 でも、それを言えないのは、その言葉も君を傷つけるだけなんじゃないかって思えてね。 君は普通に愛されてるよ、普通の愛し方で。ただ、愛してくれている人間がが普通じゃないだけさ。 |