「あれ、森田さん。珍しいですねこっち来るの」 「おぉ!真山!お前何故ここに!?」 「何故って建築科の校舎ですよここ。そっち行ってももう日本画科しかないですし・・・」 「真山ー付いて来るなよー!」 「って森田さんに言われて付いてったんだけどよ」 「え?来るなって言われたのに?」 「だって何隠してるか知りたくないのか?なるだろ?ならないとは言わせねぇぞ」 「それは・・・でも森田さんって普段から謎が多いから今更一個くらい増えても・・・」 「甘い!甘いぞ山田!今回ばかりは俺は付いていって正解だと思った!森田さん、あの日本画科の深窓の令嬢と知り合いだったんだよ!?」 「え?あのさんと?」 「そう!殆ど人前に姿を現さない、同じ大学に通っている筈なのに見た事のない人間が多すぎるという幻の嬢と森田さんが親し気に話してたんだよぉぉぉおおおお!しかも楽しそうに!」 「幻って何よそれ、幽霊じゃないんだから。確かにさんってたまーに雑誌に写真が載ってるくらいで同じ学校に通ってるってイメージは無いけど・・・森田さんや真山と違って出席日数は足りてる筈よ」 「う・・・それを言われると痛いが・・・ッだが今問題はそこじゃない!山田!森田さんと嬢が楽しそうに会話してる姿って想像付くか?」 「確かに付かないけど・・・」 「そう!この発見は森田さんを通じて嬢とお近づきに慣れるチャンスなんだ!」 「あっ私もお知り合いになりたい!っていいのそれ!?」 「と、言う訳で森田さん、このロールケーキが欲しかったら俺たちに嬢を紹介してください!」 真山、手に持つものがロールケーキ一本なのにドヤ顔で言うにはちょっとインパクトが弱い気がする。真山は森田さんを少し・・・いや、だいぶ舐めてるんじゃないかしら。 しかし森田さんには効果はテキメンの様で、ぐぬぬと唸っている。この様子だとあと五分もすれば森田さんが折れてさんを紹介してもらえそうだ。森田さんはロールケーキを見て、私を見て、真山を見て、それからもう一回ロールケーキを見た。 そしてダッシュ。 「あ、逃げた」 惜しい、三分だったか。 「待てぇ!」 ダッシュで駆け出した森田さんの逃げた先が日本画科の校舎で、逃げた先の部屋に件のさんがいたので一応は紹介してもらえたらしい。真山の持っていたロールケーキをお茶請けに美味しい緑茶を淹れてもらったが、さん曰く拗ねている森田さんがずっと彼女の背中に張り付いていた。この二人の関係はよくわからないという事で落ち着いた。 「あの二人ってどういう繋がりなんだろうね」「さぁな、でも森田さんが借りてきた猫みたいに大人しいのも珍しいな」 |