無自覚な純情兎と色々とエロい元ヒーロー











「何ですか?これ」
「あぁ、それはの衣装だよ。ほれ」

斉藤に呼び出されたバーナビーの問いに、不在の主に代わり虎徹が答えた。中央のテーブルに綺麗に折り畳まれていた黒い布の二ヶ所を摘みあげると、確かにドレスの形をしている。
今虎徹は衣装と言った。隣に置かれている剣と仮面を見ると、ヒーロースーツであるようだがとてもじゃないがそうは見えない。

「バーナビー、俺は嘘なんかついてねぇからな」
「いえ、貴方の言葉を疑っている訳ではないんです。ただ・・・」

言葉を濁すバーナビーに、虎徹は自分の持っているドレスを改めて観察した。
確かに、の現役時代を知らなければ疑うのも無理はない。袖の無い漆黒のドレスは胸と背中が大きく開いていて、丈は長いものの深く入ったスリット。着る人間を限定させるシルエットは、お世辞にも防御力を考慮してるとは思えない。

「いや、一応長手袋とロングブーツ履いてたからな、アイツ」
「それにしても、この衣装は無いんじゃないですか?」
「まぁ、がヒーローやってたのは七年も前になるからな。それも一年だけだ、バニーちゃんが知らないのも無理はねぇ。その一年でKOHの称号を掻っ攫った幻のヒーロー、それが彼女、"ノワールサンドリオン"だ」
「(その通り)」
「「斉藤さん」」

スピーカーを頭につけたままだったのでバーナビーも研究室に戻ってきた彼に反応した。

「(この布は材質、縫製技術共に素晴らしいのだが、彼女の所属会社は既に倒産してしまっいてね。今、この布は彼女の所有していたこの衣装しか現存しないんだ。それを君達のアンダースーツ開発の参考のために持って来てもらったんだ)」
「で、これが此処にあるって事は来てるのか?」
「(あぁ。勿論だとも)」

声と同時に扉が開く。黒いシャツに青いジーンズ、ピンヒールの黒のロングブーツ姿の女性が部屋に入ってきた。

「久しぶりね、虎徹」
「よぉ、!久しぶりだな、ヒーロー辞めて以来か?」
「えぇ、貴方はヒーロー続けてるのよね、活躍はTVで観ているわ」

旧知の仲なのだろう、固い握手を交わした虎徹とと呼ばれた女性。は虎徹に向けた笑顔をそのままバーナビーに向ける。

「このコが例の新人君ね。始めまして、"ノワールサンドリオン"、です」

日系の血が入っているのだろう、彼女は黒い瞳と黒い髪をしていた。髪は肩で切りそろえられ、上二つボタンを外したシャツから溢れる程の豊満な胸は輝く程白い。括れた腰は細く、濃い藍のジーンズで隠された足は程よい肉付きが色気を醸し出していた。

「始めまして、さん。歴代のKOHにお会いできて光栄です」
「ありがとう、バーナビー君。活動期間が一年だけで、称号は貰っただけだからあまり誇れたものではないけどね」
「ほんっとお前現役時代エロかったよなぁー。犯人が衣装狙ってた攻撃してきた時は流石に皆で加勢したよなぁ」
「あったわねぇそんな事も。あれはホント笑えなかったわぁ」

てっきり衣装に見合う体型で無くなったからヒーローを引退したのではと失礼なことを思っていたバーナビーだったが、その考えは即座に否定した。
おそらく自分より歳上だろう、日系人の年齢はよくわからない。
彼女と楽しそうに話している男は知っているのだろうか。自分が必死で求めたヒーローの座を僅か一年で返上した理由を。
しかしバーナビーの疑問は、解決されるどころか斉藤の爆弾発言で吹っ飛んだ。

「(、早速だが、衣装に袖を通してもらえないか?)」
「あら、持ってくるだけじゃなかったの?」
「(実際、装着時にどれだけ負荷に絶えられるかテストしたくてね)」
「おー超貴重じゃねぇか!」
「構わないけど・・・入るかしら、胸」

ぼそりと呟かれたの一言で、バーナビーは脳裏に先程見たドレスを着たを想像してしまった。それはもうリアルに。

「うぉお!バニーちゃん鼻血鼻血!」
「(バーナビー君・・・)」
「あらあら」

ニューヒーローは随分可愛らしいのねぇと笑われたが弁解する余地など無かった。





結局その日はのヒーロースーツ姿を拝む事は出来なかったたが、後日虎徹に現役のの写真を見せてもらったバーナビーは、改めて彼女の姿の破壊力を知った。





「何なんですかこのエロさ!おじさんよく彼女と一緒にヒーローしてて理性保てましたね!」
「いや、バニーちゃん。おじさん既婚者なんですけどー」
「日系人はただでさえ年齢不詳なのにあれで僕と七つ違いだなんて信じられない・・・あの人僕の事子供扱いするんですよ!」
「え、あれ?」
「あのヒーロースーツだって今の方が絶対似合うのに・・・なのに笑うと可愛いってなんなんですか彼女は!」
「・・・マジ?」