「殺して」 廃屋に響く声は、言葉の意味こそ場に沿っているものの、声色は爪を剥がれ四肢を折られ全身から血を流している姿からは想像出来ないほど凛として、気高い。 「賞金首ハンターか、潔いのは認めてやる」 「これ以上は時間の無駄よ。仲間なんかいないし、私の持っている情報は全て私が手に入れたものだから、懇意の情報屋も存在しないわ」 「団長、本当よ」 椅子に縛り付けられたは、正面の黒尽くめ男を見つめる。正面の男もまた、光を失わないの瞳を見つめていた。 短時間とはいえ、大の男ですら悲鳴を上げ、洗いざらい喋るフェイタンの拷問にすら耐えた女だ。欲しかった宝石は手に入れた。襲撃した美術館で警備にあたっていた中で、プロハンターも含め、一番強かったのが彼女だ。それ以外は全員殺せたのだが、彼女だけが地に伏すことが無かった。 強さに興味が湧いた、だから生かして連れて帰った。 「仲間にならないか?」 「断る」 「パク、この女の大事にしているものを聞き出せ」 パクノダが頷き、の肩に手を置いた。 「ねぇ、。貴女が大事にしているものは、何?」 「貴方達に言う必要はないわ・・・っ」 言い終わると同時にフェイタンに右足を切断された。ゴロリと転がる足を目にしても、彼女の瞳に絶望の色は無い。 「小さな、街ね」 「っ!」 「何もない。けど、平和で、誰もが幸せそうに暮らしているわ」 「・・・」 彼女の瞳が僅かに開かれる。それでも身に纏うオーラは揺るがなかった。 僅かな沈黙。先に破ったのは、彼女だった。 「素敵な街でしょう」 期待以上だった。 は笑ったのだ。愛おしい、と表現するに相応しい笑みを湛え。 死と向き合い自暴自棄になった者のではなく、ただその街を想っての言葉。 「面白いな」 彼女に近付き手刀で意識を奪う。 「マチ、足の念糸縫合を」 「物好きだね、団長も」 興味を持った彼を止める術はもう誰も持たない、明らかに呆れた表情を向けられても笑み一つで受け流す。右足が繋がったのを確認してクロロはの頬をそっと撫でた。 「少し、忙しくなりそうだ」 ここまで強い女が死を賭してまで守るものが見てみたい、そしてそれを奪ったら一体君には何が残るのだろうか、も。 |