「何でお頭が"気まぐれ"を担いでるんですかー!」 甲板で見張りをしていた船員の叫び声に、出港準備をしていた他の船員がぞろぞろと顔を出す。 シャンクスに右腕一つで抱えられているの姿を見て笑い声を上げる者、顔を青ざめる者、溜め息を吐く副船長など、反応は様々だ。そんな仲間にシャンクスはにやりと笑い、告げる。 「戦利品だ」 「せめて客人と言って欲しかったのですが」 突っこむ所はそこじゃない。 あんなに嫌がっていたのに何故、シャンクスはどうやって口説き落としたのか、というか担ぎ上げる理由はどこにあるのだろう。いくつもの疑問が生まれるが、同時に理解も出来た。これが彼女の"気まぐれ"か、と。 が海軍を全滅させたこともあり、早々と出航した赤髪海賊団は外海に出て、拠点としている無人島へと戻ることにした。 は空き部屋を宛がわれた。初日にシャンクスに好きなようにしろと言われてから、昼夜を問わず船内をふらふらと歩き回り、食事は食堂が混む時間をずらしていたが、船員と共に利用していた。 やがて天気のいい日は甲板で椅子を持ち出し、赤髪海賊団の蔵書を読み漁るの姿が定期的に見られるようになった。海軍を相手にしていた時とは比べ物にならない静けさ。物怖じしない船員はに声をかけ、も愛想よく応対する。海賊に属していないからと言って自由な海賊が嫌いな訳ではないらしく、手合わせも幾度か行っていた。 「、これを見ろ」 シャンクスがを船長室に呼び出したのは初めてだった。 は客人という立場でありながら初日以降シャンクスと一切会話をしていない、それどころか今日まで二人は同じ空間に存在していなかったのだ。遠くから互いの姿を見かけることはあれど、食堂も含め廊下ですれ違う事すら無かった。 最もそれそれを知っているのは本人達と副船長だけだが。二人はから意図的に避けていたのに気付いていたが、シャンクスも船の中にいると解っていればよかったらしく追う事はなかった。と話す機会のあるベックマンも、仕事に支障をきたす事がなかったので何も言わなかった。船が次に停泊するまであと一週間の猶予はある。訳など後からでも探れるし、第一"気まぐれ"の言動に深い理由などあるのだろうか。 が入るとシャンクスが新聞を渡す、日付は今日のものだ。中をパラパラと捲り、見せたかったであろう箇所で手が止まる。 「思ってたより遅かったですね」 「感想は?」 「思ってたよりいい写真を使われましたね。如いて言えばもう少し若い時の方が良かったですが」 「俺としてはもう少し色っぽくても良かったんだがこれ以上敵は作りたくないからな」 「何の敵かはとりあえず聞かなかった事にします。それにしても私なんかがこんなに高くていいんですかね」 「しょっぱなからこの金額は破格だが妥当だろう、何せ噂でしか知らない人間も多いだろうに」 更新された手配書に混じる、新しい手配書。 賞金首"気まぐれ"、懸賞金、・・・。 |