「臨也、私あなたの事こんなに殺したいと思ったのは高校以来だわ」 マンションに帰宅早々、が臨也の顔を見るなり直球で物騒な言葉を口にした。彼女にしては珍しい台詞だと、思わず仕事の手を止め臨也はの方を見遣る。勿論、口元に笑みを湛えるのは忘れない。 「別にそれはの愛情表現として受け止めるからいいけど一体何があったの?ねぇ何で帰宅早々荷物纏めてるの?何処か旅行?」 「旅行?それもいいわねぇ、あの二人に会わない所に行きたいわ。・・・ねぇ臨也、私が帰国したことあの二人に言ってないでしょうね」 「あぁ、九瑠璃と舞流?ごめん言った」 「・・・よっぽど静雄と同盟組んでこの世から駆除して欲しいみたいね」 「うわぁ、それされたら本気で命の危険に晒されるんだけど」 「じゃあ今から静雄の所に行ってくるわ。波江さんも雇い主置いて早めに逃げておいてくださいね」 「解ったわ。・・・それにしても自称非力な平和主義者な彼女に此処まで言わせるなんて。流石は貴方の妹達というとこかしら?」 「ちょっとマジで?待って、ここは一応事務所も兼ねてるからあの二人に教えてないし暫く此処から出なければ会わなくて済むよ!」 「本当に?」 「俺はに嘘はつかないよ?」 「隠し事はするわね」 「仕方無いだろう?は感が鋭いから隠しても隠しても火種を潰すんだから」 「あら、火事は初期消化が大事なのよ?」 「俺は大きな花火を上げたいんだけどねぇ・・・で、何があったのさ」 「あー!!!姉サマだー!」 が池袋を歩いていたら突如背後から聞こえた自分を呼ぶ叫び声。それを聞いたは声の持ち主を思い出すより先に身体が反応した。は声の主を知っている。自分が最も苦手とする人間達、しかも彼女達に至ってはは愛そうという努力を放棄した位だ。は久方振りに感じる恐怖のから逃げる為に足を走らせる。 「姉サマ足早ーい!クル姉そっちいったよ!!」 慌てて顔を上げれば正面にいたのは叫び声を上げた折原舞流の双子の姉、折原九瑠璃。 「久(お久し振りです)・・・姉(姉さま)」 「ーっ!」 正面で待ち構えていた少女に抱き付かれ悲鳴も上げられない。力付くでも逃げ出したいが、九つも違う女の子に暴力をふるう訳にもいかず硬直してしまった。その間に追い付いた舞流に後ろからも抱き付かれてしまい、身動きもとれずもう逃げられなかった。 「姉サマまだイザ兄と付き合ってるの?イザ兄なんか止めて私達と付き合おうよ!!」 「姉(姉さま)・・・慕(大好きです)」 可愛らしい双子の少女と彼女達に挟まれながら求愛を受ける整った顔立ちの女性。端から見れば歳の離れた多少仲良し過ぎる友人、少しひねた人間からはいやらしさ満載の百合、そして中央の彼女を知つ者であれば珍しい光景と映るだろう。 静雄と臨也の殺し合いを目前にしても笑顔を絶やさない挙句、戦争を止められる程の度胸と実力を持っているあのの顔色を此処まで変える人間がこんな少女達だなんて実際目にしても信じられない、というのが大方の反応だ。 「お前らそこまでにしておけ、先輩が死にかけてる」 「あー!静雄さんだー!!」 結局その抱擁は硬直したを静雄が見兼ねて双子を引き剥がすまで続いた。 |