今日も池袋で始まった折原臨也と平和島静雄の殺し合い。いつも通りの非日常な日常。それがたった一人の女性によって非日常へと変り果てるなんて一体誰が想像しただろう。 二人の間に割り入った女性。遠巻きに眺める群集は皆池袋に始めて来た人間がてっきり迷い込んだのだろうと思ったが、その考えは直ぐ紡がれた台詞により一気にぶっ飛んだ。 「静雄、その手に持っている物は何かしら?」 「・・・会長・・・」 その声を聞き今にも臨也に向かって自動販売機を投げようとした動作が止まり、その姿を見るや否や怒りが冷めるのを通り越して顔が青ざめる静雄。 平和島静雄を知ってる人間がこの光景を見たらまず自分の目を疑うだろう。そして思う筈だ、この状況を作ってる目の前の女は一体何者だ、と。 「何を持っているのかしら?」 「・・・自動販売機です」 「置きなさい、そして隣に座りなさい。臨也、勿論貴方もよ」 群集に紛れて池袋を後にする臨也の方を振り返り、先程の女性――はにっこりと笑顔を作った。痛いくらいに彼女の視線を雑踏のなかで感じた臨也は大人しく立ち止まり、こちらもまた笑顔を、しかし若干いつもより引きつった笑顔を顔に貼り付け、彼女の方へ振り返った。 「嫌だなぁ、俺はただ通りかかっただけ・・・」 「あら、私は座れと言ってるだけよ?臨也」 ヤバい、笑ってるけど目がマジだ。 ここから逃げ出すのは簡単だが、の場合その後仕事に支障が出る。『開錠屋』の情報を貰えないのも痛いし、とは同棲(曰く同居)しているから逃げても後でどんな目にあうか。臨也は諦めて大人しく静雄の隣に座る。 「ッチ、何でノミ蟲なんかと・・・」 「俺だって不本意だよ、シズちゃん」 「二人ともちょっと黙りなさい」 「「はい・・・」」 二人を見下ろす。高校時代ならここで三十分程の説教が始まるが、今日はいつまで立ってもその気配は無い。 「あの・・・?」 「何かしら?羞恥プレイでガマンしようと思ってたんだけど高校時代みたく説教もして欲しい?」 それはそれで痛い。 「、恋人なんだから見逃してよ」 「会長、まだこんなのと付き合ってるんすか?!」 周囲の人間が今度は耳を疑った。知らない人間から見れば美男美女のお似合いカップルだが、あの折原臨也に特定の異性が居るなんて聞いたことが無い。彼の性格を知っている人間なら尚更、信奉者ならまだしも、彼が『恋人』と呼ぶ人間がいるなんて。 彼らの脳裏にもう一度繰り返される疑問。この女は一体何者だ。 「臨也、叱るのに恋人も後輩も無いわよ。それと静雄、私はもう生徒会長じゃないのよ?」 邪気の無い、人を安心させる様な優しい微笑みは彼女に深く関わった人間にしか真意を汲み取れない。そして今の彼女の笑みは、確実に怒気を孕んでいた。 ああ、この笑顔が懐かしい。正座する二人がの思考が珍しく一致した。 |