さよならはまだ言えない











「まさか能力者嫌いのお前が裏切るたぁ思ってなかったよ。
「誤解ですよ、クザン大将。私が裏切っているのならとうの昔に彼を連れてここから逃げ出していますもの」

処刑台の前に座るこの男は青キジと呼ばれる、海軍の頂点に近い権力者。その男の普段よりも幾分か冷めた視線をものともせず、は自らの立ち位置から微動だにしなかった。しかし大将の周りを警護する海兵には手を振り、場を外すように仕向ける。

「聞いちゃったよ、インペルタウンでの愛の告白。浮いた噂なんて一つも出てこないような"能力者殺し"のちゃんをメロメロにしたのがあの男とはねぇ」
「そうですか」

は顔色を変えなかった。人目も気にせずあそこまで叫んだのだからマゼランに緘口令を出させたとはいえ所詮気休めにしかならない。も思いの丈を叫んだのだ、後悔などしていない。

「どうします?戦いに紛れて処罰しますか?」
「人手不足だからねぇ、その件は後回しにしておくよ」

そう、たとえこの事が上層部に洩れても精々監禁されるだけで殺されることは無い。彼らはきっとこの身を手放さない。
そろそろセンゴク元帥が処刑台の上で隠された真実を世界中に伝える。白ひげの姿はまだ見えない。

「ま、寝返られたらその時は容赦しないけど」

青キジは椅子に座りなおし、アイマスクをつけた。辺りに張り詰めた緊張をものともせずに普段と変わらずに動けるのはやはり貫禄と言うものだろうか、それとも只の変人なのか。

「アイマスクは外してください、大将」

おみかんあげますから、とは青キジに剥いたみかんを渡す。

「何故みかん?」
「先程ガープ中将から頂きました」
「あっそ。手袋黄色くならない?」
「ご心配なく、ちゃんと外してますので」

厳戒態勢でそれはどうかと思ったが、彼女には常に言葉では負けてしまうので止めた。を見ると身軽が売りの彼女にしては珍しい重装備。愛用の拳銃は二丁とも腰から下げていた。重いからと言い普段は部下に持たせている弾丸も身体に巻いている。そして普段使わない細身の刀。確かこれも海楼石で出来ていた。

「それ、全部?」
「はい、白ひげ相手に出し惜しむ余裕なんてありませんから。真下に手錠部隊は居ますけど、あくまで私の援護ですよ」

海楼石で出来た弾丸。希少な石を加工して作られているので、本来なら撃った相手を海楼石の手錠で拘束し、弾丸を抜き出さなければならない。それ故射撃の腕に加え、相当の地位がないと所持すら許されない代物だ。

「ところで、太った?」
「・・・は?」
「スリーサイズが変わったな。俺の目は誤魔化せない。それに銃弾を巻いて動きが鈍くなったことを隠している、違うか?」
「・・・相変わらず女性に関しては記憶力が良い様で」
「そりゃどーも。で、誰の子?」















さよならへのカウントダウン



「浮いた話なんてオジサン一個も聞いたことないのに」「いいじゃないですか、今知ったところで生き残れなければ意味が無いじゃないですか」